眞智王

眞智王

 眞智王が擁立された。
 諱は舍輪、眞興王の次子である。
 母は思道夫人、妃は知道夫人。
 太子が早世したので、眞智が擁立されたのである。

 元年。
 伊飡居柒夫を上大等に任命し、それによって國事を委任した。

 二年、春二月。
 王が自ら神宮を祀り、大赦を出した。

 冬十月。
 百濟が西邊州郡を侵犯した。
 伊飡世宗に命じて軍隊を出させ、一善北で擊破して斬獲すること三千七百級。
 內利西城を築いた。

 三年、秋七月。
 陳に遣使して方物を献上した。
 百濟に也山城を割譲した。

 四年、春二月。
 百濟が熊峴城、松述城を築き、䔉山城、麻知峴城、內利西城への交通路を塞いだ。

 秋七月十七日。
 王が死去した。
 諡は眞智。
 永敬寺北に葬られた。


 

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≪白文≫
 眞智王立。
 諱舍輪、眞興王次子。
 母、思道夫人。
 妃、知道夫人。
 太子早卒、故眞智立。

 以伊飡居柒夫爲上大等、委以國事。

 王親祀神宮、大赦。

 百濟侵西邊州郡、命伊飡世宗出師、擊破之於一善北、斬獲三千七百級。
 築內利西城。

 遣使於陳以獻方物。與(举/侵)百濟閼也山城。

 百濟築熊峴城、松述城、以梗䔉山城、麻知峴城、內利西城之路。

 王薨。
 諡曰、眞智、葬于永敬寺北。


≪書き下し文≫
 眞智王立つ。
 諱は舍輪、眞興王の次子なり。
 母は思道夫人。
 妃は知道夫人。
 太子早卒し、故に眞智立つ。

 元年。
 以て伊飡居柒夫を上大等と爲し、以て國事を委ぬ。

 二年、春二月。
 王親(みずか)ら神宮を祀り、大赦す。

 冬十月。
 百濟西邊州郡を侵す。
 伊飡世宗に命じて師を出せしめ、之れを一善北に於いて擊破し、斬獲すること三千七百級。
 內利西城を築く。

 三年、秋七月。
 陳に遣使して以て方物を獻ず。
 百濟に閼也山城を與(あた)ふ。

 四年、春二月。
 百濟熊峴城、松述城を築き、以て䔉山城、麻知峴城、內利西城の路を梗(ふさ)ぐ。

 秋七月十七日。
 王薨ず。
 諡は曰く、眞智。
 永敬寺北に葬むらる。