樂(高句麗)

樂(高句麗)

 高句麗の樂。通典には「楽工の人は紫色の羅帽を被り、鳥羽で装飾する。黃の大袖、紫の羅帯、大口の袴、赤の皮鞾、五色の緇繩を着用する。舞者の四人は、髪を纏めて後ろに垂らし、赤色の化粧を額にし、金璫で装飾し、二人が黄色の裙襦と赤色と黃色の袴を着用し、もう二人は赤色と黄色の裙襦と袴を着用する。極めてその袖は長く、烏皮の革靴を履き、どちらも併せて立って舞い、楽は彈箏が一つ、掬箏が一つ、臥箜篌が一つ、竪箜篌が一つ、琵琶が一つ、五絃が一つ、義觜笛が一つ、笙が一つ、橫笛が一つ、簫が一つ、小篳篥が一つ、大篳篥が一つ、桃皮篳篥が一つ、腰鼓が一つ、齋鼓が一つ、檐鼓が一つ、唄が一つ用いられる。大唐武太后の時には、まだ二十五曲が存在したが、現在では一曲が習得できるのみで、衣服についても年月とともにすたれてしまい、その本来の風情は失われてしまった。冊府元龜には、「楽には五絃琴、箏、篳篥、橫吹簫、鼓の類別があり、吹蘆によって曲を調和させる。」とある。

 

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≪白文≫
 高句麗樂通典云、樂工人紫羅帽、飾以鳥羽、黃大袖、紫羅帶、大口袴、赤皮鞾、五色緇繩、舞者四人、椎髻於後、以絳抹額、飾以金璫、二人黃裙襦、赤黃袴、二人赤黃裙襦袴、極長其袖、烏皮鞾、雙雙倂立而舞、樂用彈箏一、掬箏一、臥箜篌一、竪箜篌一、琵琶一、五絃一、義觜笛一、笙一、橫笛一、簫一、小篳篥一、大篳篥一、桃皮篳篥一、腰鼓一、齋鼓一、檐鼓一、唄一、大唐武太后時、尙二十五曲、今唯能習一曲、衣服亦寖衰敗、失其本風。冊府元龜云、樂有五絃琴箏篳篥橫吹簫鼓之屬、吹蘆以和曲。


≪書き下し文≫
 高句麗の樂、通典に云く、樂工の人は紫羅帽、飾るに鳥羽を以てし、黃の大袖、紫の羅帶、大口の袴、赤の皮鞾、五色の緇繩たり。舞者四人は、後に椎髻し、絳を以て額に抹す、飾るに金璫を以てし、二人は黃の裙襦、赤黃の袴、二人は赤黃の裙襦と袴、極めて其の袖を長くし、烏皮の鞾、雙雙として倂せて立ちて舞ひ、樂は彈箏一、掬箏一、臥箜篌一、竪箜篌一、琵琶一、五絃一、義觜笛一、笙一、橫笛一、簫一、小篳篥一、大篳篥一、桃皮篳篥一、腰鼓一、齋鼓一、檐鼓一、唄一を用ゆ。大唐武太后の時、尙ほ二十五曲、今唯だ能く一曲を習ふのみ、衣服も亦た衰敗を寖し、其の本(もともと)の風を失す。冊府元龜に云く、樂に五絃琴、箏、篳篥、橫吹簫、鼓の屬有り、吹蘆以て曲を和す、と。