屋舎

 眞骨について、家室の長広は二十四尺を過ぎることはなく、唐瓦を覆うことはなく、飛簷を施すこともなく、懸魚を彫りつけることもなく、金銀鍮石五彩で装飾することもなく、階石を磨くこともなく、三重階を置くこともなく、垣墻(かこい)に梁棟を施すこともなく、石灰を塗らず、簾綠に錦罽繡野草羅は禁じられ、屛風に繡は禁じられ、床を玳瑁沉香で飾らない。

 六頭品について、家室の長広は二十一尺を過ぎることなく、唐瓦を覆うことはなく、飛簷重袱栱牙懸魚を施さすこともなく、金銀鍮石白鑞五彩で装飾することもなく、巾階及び二重階を置かず、階石を磨くことなく、垣墻(かこい)は八尺を過ぎることなく、また梁棟を施すことなく、石灰を塗らず、簾綠は罽繡綾を禁じられ、屛風には繡を禁じられ、床には玳瑁紫檀沉香黃楊を飾ることはできず、また錦薦が禁じられ、重門及び四方門を置かず、廐(うまや)に五匹の馬を収容する。

 五頭品について、家室の長広は十八尺を過ぎることなく、山楡の木を用いず、唐瓦を覆うことなく、獸頭を置かず、飛簷重袱花斗牙懸魚を施すことなく、金銀鍮石銅鑞五彩を装飾とすることはなく、階石は磨かず、垣墻(かこい)は七尺を過ぎることなく、よって梁を架けることもなく、石灰を塗らず、簾綠は錦罽綾絹絁が禁じられ、大門四方門を作らず、廐は三匹の馬を収容する。

 四頭品から百姓まで、家室の長広は十五尺を過ぎることなく、山楡の木を用いず、藻井を施すことなく、唐瓦を覆うことなく、獸頭飛簷栱牙懸魚を置かず、金銀鍮石銅鑞を装飾とすることはなく、階砌に山石を用いず、垣墻(かこい)は六尺を過ぎることはなく、また梁を架けることはなく、石灰を塗らず、大門四方門を作らず、廐に二匹の馬を収容する。

 外眞村主は五品と同様で、次村主は四品と同様である。


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≪白文≫

 眞骨、室長廣不得過二十四尺、不覆唐瓦、不施飛簷、不雕懸魚、不飾以金銀鍮石五彩、不磨階石、不置三重階、垣墻不施梁棟、不塗石灰、簾綠禁錦罽繡野草羅、屛風禁繡、床不飾玳瑁沉香。

 六頭品、室長廣不過二十一尺、不覆唐瓦、不施飛簷重袱栱牙懸魚、不飾以金銀鍮石白鑞五彩、不置巾階及二重階、階石不磨、垣墻不過八尺、又不施梁棟、不塗石灰、簾綠禁罽繡綾、屛風禁繡、床不得飾玳瑁紫檀沉香黃楊、又禁錦薦、不置重門及四方門、廐容五馬。

 五頭品、室長廣不過十八尺、不用山楡木、不覆唐瓦、不置獸頭、不施飛簷重袱花斗牙懸魚、不以金銀鍮石銅鑞五彩爲飾、不磨階石、垣墻不過七尺、不架以梁、不塗石灰、簾綠禁錦罽綾絹絁、不作大門四方門、廐容三馬。

 四頭品至百姓、室長廣不過十五尺、不用山楡木、不施藻井、不覆唐瓦、不置獸頭飛簷栱牙懸魚、不以金銀鍮石銅鑞爲飾、階砌不用山石、垣墻不過六尺、又不架梁、不塗石灰、不作大門四方門、廐容二馬。


≪書き下し文≫

 眞骨、室の長廣は二十四尺を過ぐるを得ず、唐瓦を覆はず、飛簷を施さず、懸魚を雕(きざ)まず、以て金銀鍮石五彩を飾らず、階石を磨かず、三重階を置かず、垣墻(かこい)に梁棟を施さず、石灰を塗らず、簾綠に錦罽繡野草羅を禁じ、屛風に繡を禁じ、床に玳瑁沉香を飾らず。

 六頭品、室の長廣は二十一尺を過ぎず、唐瓦を覆はず、飛簷重袱栱牙懸魚を施さず、以て金銀鍮石白鑞五彩を飾らず、巾階及び二重階を置かず、階石磨かず、垣墻(かこい)は八尺を過ぎず、又た梁棟を施さず、石灰を塗らず、簾綠は罽繡綾を禁じ、屛風に繡を禁じ、床に玳瑁紫檀沉香黃楊を飾るを得ず、又た錦薦を禁じ、重門及び四方門を置かず、廐(うまや)に五馬を容(い)る。

 五頭品、室の長廣は十八尺を過ぎず、山楡木を用いず、唐瓦を覆はず、獸頭を置かず、飛簷重袱花斗牙懸魚を施さず、金銀鍮石銅鑞五彩を以て飾と爲すことなく、階石磨かず、垣墻(かこい)は七尺を過ぎず、以て梁を架けず、石灰を塗らず、簾綠は錦罽綾絹絁を禁じ、大門四方門を作さず、廐は三馬を容る。

 四頭品至(ないし)百姓、室の長廣は十五尺を過ぎず、山楡木を用いず、藻井を施さず、唐瓦を覆はず、獸頭飛簷栱牙懸魚を置かず、金銀鍮石銅鑞を以て飾と爲すことなく、階砌に山石を用いず、垣墻(かこい)は六尺を過ぎず、又た梁を架けず、石灰を塗らず、大門四方門を作らず、廐に二馬を容る。

 外眞村主と五品は同じ、次村主と四品は同じ。