遴選爲室
現代語訳
1-2人民が地に繁殖して育まれた女子、彼女らの容姿は艶やかで麗しく、それを見た上帝の息子たちは、遂にどれにしようかと迷いながらそれらのうちから選び取り、娶って伴侶とするようになった。
3耶和華は言った。「人は欲をほしいままにするようになってしまった。我が神霊がいつまでのあやつらの中に入れ込んだままにしておくようなことがあってはならぬ。」こうしてもはや彼らの生命の限りは一百二十年となるに至った。
4当時、世には偉丈夫がいた。上帝の息子と世間の人間の女が寝室を同じくすることにより、その英才と武威を育んだ、太古からいつも名声がつとに広く明らかにされてきた者たちである。○
漢文
1-2人民繁衍於地、所育女子、其容豔麗、上帝之子見之、遂遴選焉、娶以爲室。
3耶和華曰、人旣縱欲、我神必不恒牖其衷、然尚可延其生命、至於一百二十年。
4當時有偉丈夫在世、緣上帝子與世人女同室、育此英武、亙古以來、聲名夙著。○
書き下し文
1-2人民は地に繁衍り、育まるる所の女子、其の容は豔にして麗、上帝の子は之れを見、遂に遴ひて焉に選び、娶りて以ちて室と爲す。
3耶和華の曰く、人は旣に欲を縱にす。我が神は必ずや其の衷に牖くこと恒にあらじ、と。然りて尚ほ其の生命を延ぶる可くは、一百二十年に至る。
4當時に偉丈夫の世に在す有り、上帝の子と世の人の女の室を同じくするに緣り、此の英武たるを育み、古以り來に亙り、聲名は夙に著せり。○
恒懷惡念
現代語訳
5耶和華が世の人を概観してみると、悪をなしてどこまでも広がり満ち、心に企図されているものといえば、いつも悪の思念を懐いていたのだった。
6ここで耶和華は既に世の人を創造したことについて、翻って後悔の心が現れ、哀しみとともにそのことを憂いだ。
7耶和華は言った。「これから私に創造された人間を、地より翦滅する。そして犠牲の家畜や昆虫、飛ぶ鳥にもそのようにしよう。そうだ、これらは私によって作られたものであることは確かだが、私は後悔するばかりだ。」
8ただ挪亞だけが耶和華の御前において、恩寵を受けることができた。○
漢文
5耶和華鑒觀世人、作惡貫盈、心所圖維、恒懷惡念。
6於是耶和華旣造世人、旋有悔心、愀然憂之。
7耶和華曰、將以我所造之人、翦滅於地、以及牲畜、昆蟲、飛鳥、然此雖由我作、我則悔焉。
8惟挪亞於耶和華前、得沾恩寵。○
書き下し文
5耶和華の世人を鑒觀みれば、惡を作して貫き盈ち、心に圖維らるる所、恒に惡の念を懷けり。
6是に於いて耶和華は旣に世の人を造ること、旋へして悔ゆる心有り、愀然と之れを憂ふ。
7耶和華曰く、將に我に造らるる所の人を以ちて、地より翦滅せしめ、以ちて牲畜、昆蟲、飛鳥に及ぼさむ。然り、此れ我に由りて作らるると雖も、我は則ち焉に悔ゆらむ、と。
8惟だ挪亞のみ耶和華の前に於いて、恩寵を沾るを得たり。○
挪亞爲義
現代語訳
9その概略は左の通りである。挪亞は当世において義をなし、徳に備わらないものがなく、行いは上帝に合致していた。
10挪亞は三人の息子、閃、含、雅弗を生んだ。
11当時の人々は上帝の前でもその心術を壊し、暴虐や偏ったおこないをしていた。
12上帝はそこでこの世を概観してみれば、億兆の人民は心を喪失し、行動は邪かつ偏狭であった。
13上帝は挪亞に言った。「世の億兆の人民の暴虐や偏ったおこないから、私は必ず翦滅することにした。これを『亡』と云わしめよう。○
漢文
9其畧如左、挪亞於當世爲義、德無不備、所行合乎上帝。
10挪亞生三子、閃、含、雅弗。
11時人於上帝前、壞其心術、暴虐徧行。
12上帝乃鑒觀斯世、億兆喪心、行爲邪僻。
13上帝謂挪亞曰、緣世億兆、暴虐徧行、我必翦滅、使之云亡。○
書き下し文
9其の畧は左の如し。挪亞は當世に於いて義を爲し、德に備へざるもの無し。行はるる所は上帝に合へり。
10挪亞は三の子、閃、含、雅弗を生めり。
11時の人は上帝の前に於いて、其の心術を壞し、暴虐徧行す。
12上帝は乃ち斯の世を鑒觀みれば、億兆は心を喪ひ、行は邪僻を爲せり。
13上帝は挪亞に謂ひて曰く、世の億兆の暴虐徧行に緣り、我は必ずや翦滅せり。之れを使て亡と云はしむ。○
挪亞遵命
現代語訳
14そなたは木をくりぬいて方舟とし、中には房を設け、そして青の塗料をその内外に塗るがよい。
※原典では青の塗料はタール。
15その標準となる長は三十丈、横幅は五丈、高さは三丈、
※原典では長さは300アンマ、横幅は50アンマ、高さは30アンマとなっている。
16舟には必ず蓋〈蓋は窻とされることもある〉を作り、その上の僅かばかりの渡しは一尺〈古の尺布では肘が物差である〉で、側面にひとつの入口を設置し、必ず三階建てに作って上階、中階、下階に分けるのだ。
17私は必ずや洪水を地に氾濫させ、億兆の人民を翦滅する。天下のあらゆる血と気を有する者は、必ずや滅びを共にするのだ。『亡』によって。
18今からそなたと契約しよう。そなたは舟に入るがよい。お前の妻も、お前の息子も、お前の娘も、すべてたずさえてから乗るがよい。
19様々な生物の族類の牝と牡それぞれ一匹を引き連れ、それらを抱えて舟に乗ることで、それらの命を延ばすがよい。
20禽鳥、六畜、昆虫、どれもその類別によって、族ごと各々に配偶させて、その命を延ばすがよい。
21そなたは必ず自己および万物の為に、さまざまな食品を備蓄し、そして求められたものを供ずるがよい。」
22挪亞は上帝の命に遵じて行った。
漢文
14爾可刳木爲方舟、中爲房、以瀝青塗其內外。
15其式長三十丈、闊五丈、高三丈、
16舟必作蓋、〈蓋或作窻〉其上僅徑一尺、〈古尺布肘爲度〉傍置一門、必作三層、分上中下焉。
17我必令洪水氾濫於地、翦滅億兆、天下凡有血氣者、必淪胥以亡。
18今與爾約、爾可入舟、若妻、若子、若媳。咸挈以登。
19將諸生物族類、牝牡各一、挈之登舟、以延其命。
20禽鳥、六畜、昆蟲、皆依其類、每族各以偶至、以延其命。
21爾必爲己及物、蓄諸食品、以供所需。
22挪亞遵上帝命而行。
書き下し文
14爾は木を刳きて方舟を爲り、中に房を爲り、以ちて青の塗りを其の內外に瀝らす可し。
15其の式の長は三十丈、闊は五丈、高は三丈、
16舟は必ず蓋を作り、〈蓋は或に窻と作す〉其の上の僅かなる徑は一尺、〈古の尺布の肘は度と爲る〉傍に一つの門を置き、必ず三層を作し、上中下を焉に分くるべし。
17我は必ずや洪水を令て地に氾濫せしめ、億兆を翦滅せむ、天下の凡そ血氣有る者は、必ずや淪びの胥にするに亡を以ちてせむ。
18今爾と與に約す。爾は舟に入る可し。若の妻、若の子、若の媳、咸く挈へて以ちて登るべし、と。
19諸の生物の族類、牝牡の各の一を將へ、之れを挈へて舟に登せ、以ちて其の命を延ぶるべし。
20禽鳥、六つの畜、昆蟲、皆れも其の類に依り、族每に各が以ちて偶至はしめ、以ちて其の命を延ぶるべし。
21爾は必ず己及び物の爲に、諸の食品を蓄へ、以ちて需らるる所に供ふべし、と。
22挪亞は上帝の命に遵ひて而ち行へり。