昌熾於地
現代語訳
1上帝は挪亞とその子に祝福を賜って言った。「衆多を生み育て、地に熾炎のごとく湧きおこるがよい!
2走る獣も飛ぶ鳥も昆虫も海の魚も、必ずやお前の統轄に帰する。お前を畏怖して平伏する。
3私は昔、野菜によってそなたたちを飼っていたが、今回は生物をもってそなたに賜おう。どれも食料とするがよい。
4肉のうちまだある血あるものは、つまりその生命であり、食べてはならぬ。
5あるいは獣が人を傷つけ、あるいは人が互いに殺し合い、おおよそ血を流して命を捨て、兄弟を痛めつけて殺す者について、私は必ずその恨みを晴らそう。
6余は世の人を創造したとき、私からそっくりそのままに興した。だから人のうち血を流す者は、人は必ずその血を流させる。
7お前はこれから衆多を生み育み、熾炎のごとく湧きおこるのだ!○
漢文
1上帝錫嘏挪亞及其子、曰、生育衆多、昌熾於地、
2走獸、飛鳥、昆蟲、海魚、必歸爾統轄、懾伏於爾。
3我昔以菜蔬飼爾、今以生物賜爾、皆可爲食。
4肉尚有血、卽其生命、毋食。
5或獸傷人、或人相殺、凡流血殞命、殘害兄弟者、我必伸其寃。
6余造世人、興我維肖、故流人血者、人必流其血。
7爾將生育衆多、昌熾於者。○
書き下し文
1上帝は嘏を挪亞及び其の子に錫りて曰く、衆多を生み育て、地に昌熾るべし、と、
2走る獸、飛ぶ鳥、昆蟲、海の魚、必ずや爾の統轄に歸ひ、爾に懾れ伏さむ。
3我は昔て菜蔬を以ちて爾を飼ひ、今は生物を以ちて爾に賜へり。皆れも食と爲す可し。
4肉の尚ほ血有るは、卽ち其の生命、食ふ毋れ。
5或いは獸の人を傷つく、或いは人の相ひ殺し、凡そ血を流して命を殞て、兄弟を殘害ふ者、我は必ず其の寃を伸かむ。
6余は世の人を造り、我を興して維れ肖り、故に人の血を流す者、人は必ず其の血を流させしむ。
7爾は將に衆多を生み育み、昌熾らむとせむ。○
永立其約
現代語訳
8上帝は挪亞とその息子に言った。
9私はそなたとそなたの後裔と契約しよう。
10同時に百獣、六畜、禽鳥、生物の方舟から出て陸地に生まれた者とも契約しよう。
11今から後は、二度と洪水によって生物を滅ぼし、地を沈めることをしない。」
12上帝は言った。「私はお前たち及び諸生物と共に、永遠にその盟約を立て、必ず前兆を存在させようではないか!
13虹を雲の中に置いて、私と億兆の人民の立約の徵とする。
14この後、私は雲を使わせて地を覆わせよう。雲の中の虹が現れる。
15この時、私は必ず私とお前たち及び諸生物と立てられた契約を心に浮かべ、これからは必ず洪水が衆生を翦滅することはない。
16虹が雲の中に現れると、私がそれを観れば、私と衆生百族とで立てられた永遠の契約が思い浮かぶことになる。」
17上帝は挪亞に言った。「私は衆生百族と契約し、これをもって徵とする。」
18挪亞の三人の息子、閃、含、雅弗は方舟から出た。含は迦南を生んだ。
19挪亞の三人の息子の後裔は繁栄して地をあまねく広まり、
20挪亞は農民となって葡萄を園に植えた。
21酒を飲んで酔った後、幕の中では衣服はすべて脱ぎ去っていた。
22迦南の父の含は父の裸体を窺って、退出して兄弟に報告した。
23閃と雅弗は衣服を取って肩に負い、後ろを向きながら歩いて前に向かった。父の身体は首を回して振り向くことがなければ、その裸を見ずに済むであろうと思ってのことである。
24挪亞の酔いが醒めると、ただちに息子たちにしされことに気づいた。
25「迦南よ、呪われるがいい。必ずや奴僕の労役者となって兄弟に仕えよ。
26次いで言った。「閃の上帝たる耶和華に美しさを讃え唱えよ。迦南だけは必ず奴僕となり、閃に服従して労役せよ。
27上帝は雅弗を閃の幕に待機させ、その住居を大きく広げると共に、迦南がその労役を担当した。○
漢文
8上帝謂挪亞與其子曰、
9我與爾、及爾後裔約、
10亦與百獸、六畜、禽鳥、生物、出自方舟、生於陸地者約。
11自今以後、不復令洪水滅生物而湮地。
12上帝曰、我與爾衆、及諸生物、永立其約、必有兆焉。
13置虹雲中、爲我與億兆立約之徵。
14後我使雲覆地、雲中虹現、
15於時我必念我與爾衆、及諸生物所立之約、嗣後必無洪水、翦滅衆生。
16虹顯雲中、我觀之、則念我與衆生百族所立之永約。
17上帝謂挪亞曰、我與衆生百族約、以此爲徵。
18挪亞三子、閃、含、雅弗出於方舟、含生迦南。
19挪亞三子之裔蔓延遍地、
20挪亞爲農、植葡萄園、
21飲酒旣醉、於幕中衣服盡解。
22迦南父含窺父裸體、出告昆弟。
23閃與雅弗取衣負肩、却行以前、蓋父之體、首不囘顧、弗見其裸。
24挪亞醉醒、方知衆子所爲、
25曰迦南可詛、必爲僕役、以事兄弟。
26又云、可頌美乎耶和華、閃之上帝、惟迦南必爲僕、服役於閃。
27上帝使雅弗處閃幕、恢廓其居、迦南執其役。○
書き下し文
8上帝は挪亞と其の子に謂ひて曰く、
9我は爾、及び爾の後裔と與に約せむ、
10亦た百の獸、六の畜、禽鳥、生物、方舟自り出で、陸地に生まるる者とも與に約せむ。
11今自り以後、復た洪水を令て生物を滅ぼして地を湮ふことあらじ、と。
12上帝曰く、我は爾の衆及び諸生物と與に、永に其の約を立て、必ず兆を焉に有らしめむ。
13虹を雲の中に置き、我と億兆の立約の徵と爲す。
14後に我は雲を使はして地を覆はしめ、雲の中の虹は現はしめ、
15時に我は必ず我と爾の衆、及び諸生物と與に立つらる所の約を念ひ、後に嗣ぎて必ず洪水の衆生を翦滅すること無し。
16虹は雲の中に顯れ、我は之れを觀れば、則ち我と衆生百族の立てらる所の永の約を念はむ、と。
17上帝は挪亞に謂ひて曰く、我は衆生百族と與に約し、此れを以ちて徵と爲す。
18挪亞の三の子、閃、含、雅弗は方舟より出づ、含は迦南を生む。
19挪亞の三の子の裔は蔓延りて地を遍くし、
20挪亞は農と爲り、葡萄を園に植ゆ、
21酒を飲みて旣に醉ひ、幕の中に於いて衣服は盡く解けり。
22迦南の父の含は父の裸體を窺ひ、出でて昆弟に告げり。
23閃と雅弗は衣を取りて肩に負ひ、却り行きて以ちて前む、蓋し父の體、首は囘り顧みることせざれば、其の裸を見ること弗し、と。
24挪亞の醉ひは醒め、方に衆子に爲さるる所を知り、
25曰く迦南よ詛ふ可し、必ずや僕役と爲り、以ちて兄弟に事ふべし、と。
26又た云く、美を耶和華、閃の上帝に頌ふ可し、惟だ迦南のみ必ず僕と爲り、閃に服ひ役むべし。
27上帝は雅弗を使て閃の幕に處らしめ、其の居に恢廓せしめ、迦南は其の役を執る。○
洪水後
現代語訳
28洪水の後、挪亞はなおも三百五十年を経て、
29寿命として九百五十歲を迎えて終命した。
漢文
28洪水後、挪亞尚歷三百五十年、
29享壽九百五十歲而終。
書き下し文
28洪水の後、挪亞は尚ほ三百五十年を歷、
29壽を享くること九百五十歲にして終ゆ。